スイスエンガディン地方の旅行で最後に訪れたのが、オーストリアとの国境付近にあるザムナウン(Samnaun)という町です。
ザムナウンからは、ロープウェーやリフトを利用して山を越え、オーストリア側に入り、イシュグル(Ischgl)まで行くことができます。さらに景色がよいハイキングも楽しめます。
ここでは、ザムナウンはどんな町なのか、ザムナウンからイシュグルへのロープウェー・リフトを使った国境越えやハイキングの様子についてお伝えします。
目次
ザムナウンはこんな町
ザムナウンの町は、サンモリッツから車で2時間弱の場所にあります。
「誰がこんなところ行くんだ?」と思うようなへんぴな場所にありますが、スイスのザムナウンからオーストリアのイシュグルにかけてはスキーで結構有名なようです(イシュグルスキー場が特に有名)。
ザムナウンの町の様子
ザムナウンはタックスフリー(免税)の町としても知られています。
ザムナウンはオーストリアとの国境付近にあるため、昔からほとんどの物資をオーストリアから調達してきました。それらの物資に普通に関税をかけると生活が成り立たないため、特例として税金がかからない免税の町として国から認められているようになったそうです。
そのため、ザムナウンの町には高級品を扱う免税店がいくつもあり、空港内のデューティーフリーショップと同じように、安く買い物をすることができます。
ザムナウンの街並み
ザムナウンの町は、ショッピングをする人でにぎわっていました。ほとんどがヨーロッパの人のようで、私たちのようなアジア人観光客は一切見かけませんでした。
私たちも店をいくつか見て回ったのですが、タバコ、お酒、ブランド化粧品、香水、高級腕時計など、どれも私たちが使わない、興味のないものばかりだったので、結局何も買いませんでした。
ただ、ガソリンスタンドのガソリン価格はサンモリッツ周辺と比べて断然安かったので、ここでガソリンを満タンにしました。
ちなみに、最終日にザムナウンを出るとき、途中のマルティナという町あたりで、警察官の検問がありました。「どこから来たのか?酒や肉やタバコを持っているか?」などと聞かれ、車の窓越しに後部座席に置いた荷物をチェックしているようでした。転売のための大量購入を取り締まっていたのでしょうか。特に問題ないと判断され、すぐに開放されました。
ザムナウンのホテル
ザムナウンではホテルで2泊したのですが、ホテルの価格もサンモリッツやポントレジーナと比べてずっと安かったです。安いのにすばらしく良い部屋で感激しました。
今回ザムナウンで泊まったホテルは、Hotel Garni Auroraというところで、部屋が広くてきれいな上、眺めの良いバルコニーまでついていました。
オーナー夫妻もとても感じのいい人で、とても満足できるホテルでした。
ザムナウン~イシュグル 国境越え
スイスのザムナウンからオーストリアのイシュグルまで、ロープウェーやリフトを乗り継いで行くことができます。上の地図で赤色で示したのが、夏に動いているロープウェー・ゴンドラ・リフトです。
今回私たちは、ここでのんびりハイキング楽しむつもりで、ザムナウンに2泊しました。ところが残念なことに、ザムナウンに着いてからほとんどの時間は雨が降り続けていて、ハイキングできたのは最終日にたった1時間ほど・・・。
1日目:どしゃぶりの雨。昼過ぎにザムナウンに着き、ホテルでのんびり。
2日目:1日中雨。雨の中カッパを着てロープウェーやリフトに乗りイシュグルまで行ってみる。
3日目:雨のち晴れ。夜チューリッヒから飛行機に乗るため、13時ごろまでしかザムナウンにはいられず。昨日と同様、ロープウェー・リフトに乗って山の上に行き、少しだけハイキング。
ザムナウンで過ごした3日間はこんな感じでした。
ザムナウン・オールインクルーシブ
ザムナウンのホテルに1泊以上すると、ザムナウン・オールインクルーシブ(Samnaun All-Inclusive)というサービスを受けることができます。これを使うと、ザムナウンからイシュグルへ行くロープウェー、ゴンドラ、リフトに無料で乗ることができます。
ホテルにチェックインしたときに、パスポートを渡すと、ホテルで「ゲストカード」を発行してもらえます。
名前と生年月日入りの、ホテルチェックイン日からチェックアウト日まで有効な乗り放題パスです。普通に1日リフト乗り放題券を買うと44CHFかかるので、これはずいぶんお得です。
裏面には利用案内が書かれています。
夏季は、
・ザムナウンからイシュグルまでのロープウェー、ゴンドラ、リフト無料
・屋内プール施設Alpenquell Erlebnisbadの入場無料
・ザムナウンバス無料
・週間プログラムへの無料参加
といった特典を受けることができるようです。
週間プログラムとは、曜日ごとに決まった体験プログラムで、ハイキングツアー、歴史のツアー、動物ツアーなど通常20CHFする様々なツアーを無料で申し込むことができます。
今回は残念ながらスケジュールが合わず申し込みませんでしたが、夜のツアーなどもあり、なかなか面白そうでした。
ザムナウンからロープウェーに乗るときは、まずこのゲストカードを、ロープウェー乗り場のチケット売り場で見せる必要があります。そして、チケット売り場で乗り放題のカードを発券してもらいます。
このカードをロープウェーやリフト乗り場のカードリーダーに差し込めば、簡単にロープウェーやリフトに乗ることができます。
ザムナウン~スイス・オーストリア国境~Idalp
スタートは、ホテル近くにあるSamnaun-Ravaischというロープウェーの始発駅です。そこからTwinlinerというロープウェーに乗ります。
珍しい2階建てロープウェーです。
ロープウェーが到着したところ(Alp Trider Sattel:2488m)は、晴れていれば景色がきれいです。
ここからAlp Tider Sattelbahnというリフトに乗って、Alp Trida(2263m)に下ります。
Alp Tridaはただのリフト乗り継ぎ駅といった感じで、レストランの建物はありますが夏季は営業しておらず、静かでした。
次に乗るのが、オレンジ色のリフトFlimsattelbahnです。Alp Trida(2263m)から稜線上の国境部分(2752m)を結ぶリフトです。
国境付近に近づくにつれて、地面は草原がゴロゴロした岩場に変わり、残雪の量も増えてきました。このリフトは結構距離が長く、乗ってから降りるまで15分かかりました。
スイスとオーストリアの国境を示す看板です。
国境付近の稜線上はこんな景色です。最終日の帰る時になってやっと景色が見渡せるようになりました。
この場所は3度通過しましたが、ずっと悪天候、濃霧で何も見えませんでした。
悪天候時の国境付近
天気が悪いときの国境周辺は、とても寒く、実際の気温は4℃でした。風も強かったので、体感温度は0℃近かったと思います。使い捨てカイロのお世話になりました。
国境部分からはFlimjochbahnというリフトに乗り、オーストリア側のIdalp(2320m)に下ります。8人乗りの大きなリフトで、乗っている時間は10分ほどでした。
ちなみに、国境を越えましたが、パスポートを見せる場面は特にありませんでした。
Idalp周辺ハイキング
ザムナウンからロープウェー1本リフト2本乗り継いでたどり着いたのが、オーストリアにあるIdalpです。
ザムナウンからイシュグルの間で、ここが最もメインとなる観光地のようで、人もたくさんいました。
大きなレストランもあります。1日中雨だった日はここのレストランに入りましたが、雨にも関わらずそこそこの数のお客さんがいてのんびり食事を楽しんでいました。
最終日の少し晴れ間がのぞいたときに、Idalp周辺をほんの少しだけハイキングしました。
このあたりは、牛がたくさん放牧されていました。
あちこちに黄色い花が咲いていました。
ハイキングコースやマウンテンバイクコースがあちこちに伸びています。
マーモットもいました。
天候の関係でハイキングはほんの少ししかできませんでしたが、最終日になんとか少しだけ歩くことができてよかったです。
Idalpからイシュグル
(ここからは雨の日の写真しかありませんが、載せておきます。)
Idalpからイシュグルまでは、青いゴンドラFimbabahnに乗って下ります。Fimbabahnは途中駅Mittelstationで一度とまりますが、降りずにそのまま乗り続けてイシュグルまで一気に下ることができます。
ゴンドラ車内から見たイシュグルの町の様子です。
イシュグルのゴンドラ乗り場です。
イシュグルの町です。
イシュグルは有名なスキー場ということだったので、もっと大規模な施設があり多くの人々でにぎわっているのかと思いましたが、意外とこじんまりしていて静かな町でした。